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[INSIDE]新卒1年目を終えて:山本諒先生

広島三育学院は、他の私立校や公立校とは一風変わった教育を展開しています。どんな活動をしているのか。そして、そこにはどんな意味・意図が込められているのでしょうか。「INSIDE広島三育学院」は、広島三育学院で教員や職員を務める先生へのインタビューを通して、広島三育学院の教育内容を深掘り紹介していくシリーズです。(聞き手:広報担当 やまぐち)

もっとできることはあるかも

意外と自分の時間が作れました。
それは自分で意識して自分の生活や時間を守ろう、とした部分もありましたけど、もっともっと忙しそうにしている周りの先生方を見ていて、「これでいいのかな」と考えることもありました。
そう考えると、自分から何かを始めたり新しい取り組みができた、ということはない1年だったなとは思いました。

山本諒先生

そう話してくれたのは昨年、広島三育学院高等学校の体育科に新卒で教員生活をスタートさせた山本諒先生。何もかもが不慣れだった1年目の教員生活を終え、束の間の休息期間となった春休みに22年度を振り返ってもらいました。

昨今、全国的にも教員不足が叫ばれており、その一番の理由として挙げられるのが"ブラック"な職場環境。三育の教員も例外ではなく、生徒たちからも三育の先生のイメージを聞くと「忙しそう」と即答されます(笑)。

それでも、山本先生は冒頭のように「教員としての1年目を振り返るとどうでしたか?」という質問に対して、一言で言うと「もっとできたかも」と、少し意外な答えが返ってきました。

新卒1年目の年度を終えた山本諒先生

とにかく生徒と関わることが楽しい

山本先生は、広島三育学院高校の卒業生。OBとして育った母校に教員として戻ってきた形です。広島三育学院の先生方は8〜9割以上が同じようにOBOGの先生ばかり。ベテランの先生方にとって、教え子が教員として戻ってきて、一緒に働くことができるのが教員としての楽しみの一つにもなっています。

日本体育大学を卒業し、体育教師として高校に戻ってきた諒先生の主な仕事は体育科以外に寮のスタッフ、「寮監」として高校2年生の担当をすることが大きな役割でした。

寮監は、文字通り寮のスタッフとして寮で生活する男子高校生と一緒に寮での時間を多く過ごします。他の学校と一番大きな違いになる部分ですが、先生としての関わり以上に生徒たちと生活空間で関わることができるのは三育教員の大きな特権ではないでしょうか。

寮監として、授業では関われない生徒たちと関われてよかったです。でも、寮監室で生徒たちがいるのに別の仕事をしてしまうこともあったりして。もっともっと生徒と関われたらよかったな、という思いもあります。

山本諒先生

寮監として、そして体育教師として。
山本先生に1年間で1番楽しかったことを聞くと、「とにかく生徒たちと関わった時間」と答えてくれました。

初めて授業をやってみて生徒たちが楽しんでくれている姿を見ると単純に嬉しかったです。授業以外でも課外活動や学校行事でも生徒たちが楽しんでいるのを見るのが嬉しかったです。
若い教員として、僕にしかできないことがたくさんあると感じていました。話したり、一緒にスポーツをしたり、生徒たちとたくさん関わって信頼関係を築くことができれば他の現場で良い影響が作れるんじゃないか、と思っていました。
それは半分意識していましたが、半分は無意識でした。
と言うのも、自分がそれを楽しんじゃっていたので。

山本諒先生
アウトドア好きを生かしたアクティビティに生徒たちも楽しんで参加した(提供:山本諒先生)

三育の先生が示してくれた先生像

そんな山本先生は、いつから三育の教員になろうと思っていたのでしょうか。

中学校は系列の中学校で、高校から広島三育学院にきました。単純に、高校生活を楽しんでいましたし、寮生活を楽しめた経験があったので、高校の頃から働くなら三育の高校にという思いがありました。
数理科学コースに所属していて、勉強など苦しいこともありましたが、今思うとそれが楽しかったのかもしれません。寮でも勉強を頑張っていたし、同じコースの友達とも励まし合いながら生活するのが楽しかったんです。寮生活のあるこの三育でのコミュニケーション、空気感が好きでした

山本諒先生

そんな経験が高校時代にできたからこと、今、教員としてここ広島三育学院高校で生徒たちと向き合えると話す山本先生。

三育の教員という仕事は、自分がイメージしていた通りの仕事でした。
自分は三育で楽しんで生活できました。それは、自分1人ではできなかったと思っています。本当に、仕事を楽しみながら自分に関わってくださった色々な先生がいました。そのような人たちのおかげで自分も生徒時代を楽しめたと思っています。
今の生徒たちにも同じように思ってもらえたらいいな、と思っています。もし、今楽しめていない生徒がいたら、そんな生徒にも学校生活を楽しんでもらえたら嬉しいです。

山本諒先生

自分が生徒の時に大きな影響を受けた先生方が、今は同僚として、そして先輩として一緒に仕事をしています。そんな先生たちと一緒に働くことを「本当に働きやすい」と話します。

知っている先生方のなかで働かせてもらって、自分のことを知ってくれているので、良い意味で気を使いすぎずに働かせていただきました。大人の社会に入ること、に少し戸惑うこともありましたけど(笑)それも含めて学びでした。

山本諒先生
アウトドア、特に登山が大好きな山本先生(提供:山本諒先生)

生徒に楽しんでもらうために、まず自分が楽しむ。

三育での原体験をもとに、自分なりの教師像を歩み始めた山本先生の教師生活はまだ始まったばかり。まだ、「先生」と呼ばれることに違和感すらあると言います(笑)。
そんな、山本先生はこれからどんな教員になりたいとイメージしているのでしょうか。

今の生徒たちをみていて、教員としては優等生だと感じるし、本当にありがたいことではあるんですけど、もっともっと遊んだらいいのにと思います。コロナのことがあり、閉塞感を感じている世代なのかもしれないけど、そんな子供たちをみて、自分にしかできないことがあると感じました。
自分はアウトドアが好きなので、そういった部分でリードしながら生徒の成長を促せるようにできたらいいなと思っています。高校生の頃のパワーをもっと発揮してもらえるようにしたいです。

山本諒先生

「自分にしかできないことがある。」
そんな使命を持って、これからの教師生活を前向きに取り組もうとしている山本先生に、最後に新しく始まる23年度に向けた意気込みを聞いてみました。

常日頃から悩んで、考えて生きているようなタイプではないんですけど、2年目は与えられた仕事以上のものをチャレンジできるようにしたいと思っています。与えられた仕事の中で楽しむ、ということはできた気がするので、新しいアイデアを考えて、実行する。そんなことにチャレンジしてみたいです。
ただ、体育教師や寮監として生徒に「これをしてください」という立場の人間が楽しそうじゃなかったら生徒たちもついていけないと思うんです。心配しちゃうと思います。だからこそ、自分が楽しむ。楽しんでもらうためにも、自分が楽しまないと。そういう姿勢の教員というのは自分の中でブラさずに生きていきたいと思っています。「何してるの?(笑)」って言われるくらいの先生でいたいです。

山本諒先生
自分からいっぱい関わろうとする山本先生の周りにはいつも楽しそうな生徒の姿が

自分が楽しみながら、生徒ととにかく接していたい。関わっていたい。そんな寮監、体育教師が生徒の身近にいると思うと、なんだか安心感がありますね。

ある生徒がけん玉ですごい技を決めた時、すんごく喜んでいたんですけど、そういう瞬間に自分も居合わせていて動画を撮っていたんです。それを保護者に送ったら、すごく喜んでもらえました。こういう生徒の日常の何気ない楽しんでいるところに一緒にいる先生でいたいです。

山本諒先生
新米教師、山本諒先生のこれからの働きにぜひご注目ください!


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